例えば 小田原G3のようなグレードレースを観ていて、「発走直前にカメラマンらしき人がコース内(発走機まわり)近くにいる。係員以外がまだコースにいるのに発走するのは公正・安全を謳う競艇としてどうなのか?」という違和感を覚えた方は少なくありません。この記事では、そのようなシーンが生じる背景や、撮影・運営側のルールを整理して“その感覚が間違っているか”を含めて解説します。
競艇のスタート・発走の基本的な流れ
まずは ボートレースの発走の仕組みを整理しましょう。スタート位置に6艇が揃って一斉発進という形ではなく、ピットアウト→小回りブイ・第2ターンマークを経由→スタートライン通過という“フライングスタート方式”が採用されています。[参照] :contentReference[oaicite:2]{index=2}
このため、スタート合図が出る前から選手らは艇を動かし、コース取りや助走距離を確保する “待機行動” に入っています。待機行動には規定があり、違反すれば事故点加算やペナルティが科されます。[参照] :contentReference[oaicite:3]{index=3}
撮影・場内立ち入りのルールと実務
次に、撮影スタッフ・カメラマンなど、場内で選手・レースを撮影する立場の人がどのようなルールのもと動いているのかを見てみましょう。
例えば ボートレース津の場内案内では、「撮影時は案内所で許可書を記入・撮影許可証の着用」「水面に身を乗り出すなど競技運営に支障のある方法での撮影は禁止」などのガイドラインがあります。[参照] :contentReference[oaicite:5]{index=5}
また ボートレースびわこでは「写真・動画撮影の注意事項」として、〈照明やフラッシュの使用/水面に身を乗り出すなど、競技運営に支障をきたす恐れのある方法による撮影は禁止〉と明記されています。[参照] :contentReference[oaicite:7]{index=7}
なぜ「発走直前にカメラマンがコース内付近にいる」ように見えるのか?
観客やテレビ等の映像で「まだ撮影スタッフが発走機周辺(あるいはスタートエリア)に残っているように見える」ケースがあるのは、いくつかの事情が考えられます。
- グレードレース・番組演出:G3以上では映像演出・中継カメラの設置がより精緻で、選手や艇の近景・リプレイ用アングルなどの準備が万端に整えられています。
- レース運営・集合位置の余裕:選手が発走機にスタンバイする時間・ブリーフィング・整備確認の余裕があり、撮影準備やスタート合図のタイミングに多少“撮影側の動き”が重なりやすい可能性があります。
- 撮影エリアの線引きと表示が一般には分かりにくい:場内や中継スタッフが“選手の待機位置から見てどの範囲なら撮影可/不可”という線引きをしていて、それが観客側には“選手と同じ水面内”に感じられることもあります。
ただし、これらの事情が「係員以外で明らかにコース上に居る」ことを正当化するものではありません。撮影スタッフも安全・公平性を確保するため、細かい運営ルール内で動いているのが一般的です。
その状況は「公正・安全」を逸脱しているのか?チェックすべきポイント
観ていて違和感を覚えた場合、以下のようなポイントを確認すると良いでしょう。
まず、撮影スタッフが“スタート位置に入る直前”にまだ艇の助走やコース確認中の選手の航走ライン近くに居るかどうか。助走距離・流れを妨げる位置に撮影者が居るとすれば、安全面での問題となる可能性があります。
次に、撮影エリアやスタッフの腕章、撮影許可の表示などが場内で明示されているか。許可された撮影区域外での撮影・立ち入りが明らかであれば、公正性・運営ルール観点で疑問が残ります。
最後に、レース後に事故やトラブルが発生していないか・公式から何らかのアナウンス(撮影の妨害・スタート遅延など)があったか。もし公式資料・案内に「撮影準備のためスタートが少し遅れた」等の言及があれば、運営上の判断として許容範囲とされている可能性があります。
実例と考察:G3レースで起こりうる“撮影準備の重なり”
例として、「発走直前にスタート機に選手が乗り込んだ後、カメラマンが艇の後方に位置を取り直していた」場面を仮想します。
このようなケースでは、選手がスタンバイ→機械・モーター確認→撮影スタッフが最終カットを狙う中、スタート合図がいつもの進行より少し早めに出た可能性があります。撮影者が“聞き取り・許可エリア”を離れていないかは別として、「見えているだけ」で安全や公正を必ずしも著しく損ねているとは断定できません。
ただし、その撮影位置が選手の助走妨害・スタートライン上の艇の動線を阻害していたとすれば、運営側・競技規程上も問題視されうる状況です。観客としてその“違和感”を覚えたのであれば、それが正しい直観ということも十分あり得ます。
まとめ
「G3レースで撮影スタッフが発走機付近にいた」という状況は、演出・運営上の準備・撮影エリアの線引きという観点から説明がつくケースが多いです。しかしながら、それが安全・公正な運営から見て“許容できる範囲かどうか”は、撮影位置が選手の動線や助走を妨げていないかどうか、撮影の許可や腕章、運営の案内に準じているかなどを観察することで判断できます。
違和感を感じたならば、それはあなたの慣性(直感)が“おかしい”のではなく、観客として運営・競技の流れを正しく把握している証拠とも言えます。次回観戦時には“撮影スタッフの立ち位置・選手の助走経路・スタート合図までの時間”などにも注意を向けてみると、レース観戦が一層興味深くなるはずです。


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