たとえば、友人同士で賭けた麻雀の勝者が何かを手に入れ、その後負けた人が勝者の出品物を購入するような流れ。これを見て「それってアウトなの?」と思われた方も多いでしょう。この記事では、賭け麻雀自体の違法性と、勝った人の物品が売られる・買われるという行為がどこに法的なリスクを伴うかを整理します。
賭け麻雀=賭博行為の位置づけ
まず、法律上の解釈を確認しましょう。賭け麻雀は、少額でも1円でも金銭を掛ければ、一般に刑法第185条の賭博罪の対象となります。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
賭博罪の成立にあたっては、以下の構成要件があります。
①「偶然の勝敗」によって、②「財物・財産上の利益の得喪を争う」行為であること。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
勝者が物を得て、敗者が何かするという構図と物品売買の関係
前段の構成を踏まて、「勝った人が何かを手に入れ」「負けた人がその物品を購入する」といったケースを整理します。
例えば、AさんとBさんが賭け麻雀をして、Aさんが勝ち、Bさんが負けた。Aさんが勝ちの“報酬”として特定の高額グッズを受け取り、さらにその後Bさんがそのグッズを購入するためにAさんのフリマ出品から買った、という流れ。これは「賭けた結果として価値ある物を得た/失った」構図と近いため、賭博罪の構成要件を満たす可能性が高くなります。
一方で、勝者があくまで“楽しみとして”賞品を受け取り、敗者が“手放したいから購入した”という純粋な売買関係だけであれば、賭博罪そのものの構成とは異なる可能性があります。ただしその違いは微妙で、慎重な判断が必要です。
具体的な判断ポイント:物品売買がどこまで触れるか
物品の売買が賭博行為と結びつくかどうか、以下のような要素が重要です。
- 賭け対象となった物品かどうか:勝利・敗北の結果として授受されたものか。
- 物品の価値・金銭交換の有無:高価で換金性がある物品の場合、「財物」の範囲に含まれやすい。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
- 売買がその後迅速かつ関連性をもって行われたか:勝利直後に売買されたという文脈があるか。
- 反復・営利目的か:ただの一回の取引か、継続して同様の行為がなされているか。
たとえば、「勝った人が翌日同じ品をオンラインで即出品し、負けた人がそれを買う」ような構図が繰り返されれば、単なる物品売買ではなく賭けの構図の一部とみなされる可能性があります。
実務的なリスクと注意すべき点
実際には、賭け麻雀が検挙されるケースは少ないものの、法的には明らかに違法であるとされています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
物品売買が絡む場合、勝者・敗者双方および売買に関わった第三者にも疑いが生じうるため、次のような対応が望ましいです。
- 勝敗の結果として物品を得た・失ったという構図があれば、売買前に背景を整理する。
- 物品売買が、別件として独立した売買であることを記録・証拠に残す(売買契約書・領収書など)。
- 継続的な売買・営利目的がある場合は、古物商許可の問題など別の法令(古物営業法)にも該当しうる。
- 不安な場合は専門家(弁護士)に相談する。
まとめ
結論として、賭け麻雀そのものは原則違法(賭博罪)です。そして、勝者が物品を得て、さらにその物品が売買される流れがある場合、その売買が「賭け結果に基づく財物の得喪を争った行為」の一環とみなされる可能性があります。
そのため、物品売買の背景・文脈・継続性・価値などを慎重に見極める必要があります。違法性を避けるためには、明確に“賭けの結果”と切り離された純粋な売買であることを意識することが重要です。


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