パチンコ景品コーナーでのお菓子“誤取り問題”はなぜ起きる？高齢者トラブルと防犯対策の現実

近年、一部のパチンコ店で「お菓子を間違えて大量に持ち帰ってしまう高齢者」が問題視されています。景品交換所には〈防犯カメラ作動中〉〈警察に通報します〉という貼り紙が見られることもありますが、それでもトラブルが減らないのが現状です。

この記事では、なぜこうした問題が起きるのか、防犯対策としての効果の有無、そして今後の現実的な対応策について考察していきます。

なぜ「お菓子の誤取り」が起きるのか？

このようなトラブルの多くは、意図的な窃盗ではなく“誤認”によって発生しています。高齢者の中には視覚や認知能力が低下している方もおり、景品の引換点数やルールを正確に把握できていないことがあります。

また、交換カウンターが混雑していたり、店員とのやり取りがスムーズにいかないことで「とりあえず取って帰ってしまう」というケースも珍しくありません。

パチンコ店では、お菓子置き場や景品カウンター付近に「防犯カメラ稼働中」「不正行為は通報します」などの掲示が見られますが、それが抑止力として必ずしも効果を発揮しているとは限りません。

特に高齢者にとっては、貼り紙の意味や注意書きがそもそも目に入らない、または理解できない場合もあります。認知的なハードルが存在する以上、文字だけでの対策には限界があります。

ご指摘のとおり、実際に警察に通報されているケースはごく稀です。店側としても「お年寄りが間違えただけ」という場合に、わざわざ通報まではしないという判断がほとんどです。

しかしその一方で、「通報されないから大丈夫」という認識が広まり、悪意のある持ち出し行為を生む土壌になってしまっている面も否定できません。

一部のホールでは、以下のような対策が効果を上げていると報告されています。

このように、「物理的な管理＋人の目による見守り」がもっとも効果的な対策とされています。

現在、パチンコ店の利用者層の約4割は60歳以上とされており、高齢者対応は避けて通れない課題です。
景品の受け渡し方法や案内表示、スタッフ教育など、“わかりやすさ”と“丁寧な対応”が今後ますます求められていきます。

その一方で、トラブルを未然に防ぐには「本当に通報される可能性もある」という雰囲気作りも必要かもしれません。

パチンコ店でのお菓子の“誤持ち帰り”問題は、悪意の有無だけでは判断できないグレーな問題です。

防犯カメラや貼り紙は必要ですが、それだけでは限界があります。高齢者の特性を理解し、人的対応や仕組み改善といった“ソフトな防犯”を組み合わせることが、もっとも現実的で効果的な対応策といえるでしょう。

安心して遊べる環境づくりは、店舗にも利用者にもメリットがあります。今後のホール運営には、より丁寧で実効性のある取り組みが求められています。