匿名掲示板や地域系掲示板では、特定の人物をあだ名で呼んだり、継続的に誹謗中傷を書き込んだりするケースがあります。特に、常連客が多い場所では「あの人のことだ」と周囲に認識されることで、法的問題に発展することもあります。本記事では、掲示板の晒し投稿と発信者情報開示請求の考え方について解説します。
開示請求で重要になる「同定可能性」
発信者情報開示請求では、「その投稿が誰のことを指しているか分かるか」が重要視されます。これを法律上では「同定可能性」と呼びます。
例えば、「1番台を打っている〇〇に似ている人」という流れから、特定のあだ名が掲示板内で定着していた場合、その後にあだ名だけで書き込まれた投稿でも、周囲が本人を識別できるなら同定可能性が認められる可能性があります。
つまり、後続の投稿に「1番台」と書かれていなくても、過去ログとの流れや掲示板利用者の認識次第では、同一人物を指していると判断される場合があります。
誹謗中傷と名誉毀損の違い
「臭い」「性的な部分が臭い」などの投稿は、内容によっては名誉感情侵害や侮辱に該当する可能性があります。
名誉毀損は社会的評価を下げる投稿が対象になりますが、単なる暴言や人格攻撃でも、侮辱罪や名誉感情侵害として問題になるケースがあります。
特に、継続的・執拗な書き込みや、閲覧者が本人を特定できる状態での悪口は、裁判上でも不法行為と判断されやすくなります。
「あだ名だけ」の投稿でも対象になるのか
実際の裁判例では、本名ではなくハンドルネームやあだ名でも、周囲が本人を特定できる状態なら権利侵害が認められることがあります。
例えば、掲示板利用者の間で「あのあだ名=特定人物」と認識されていた場合、その後の悪口投稿も一連の文脈として扱われる可能性があります。
そのため、「後者は1番台という情報がないから無理」と単純には言い切れません。過去ログや掲示板全体の流れも考慮されるためです。
証拠保存が非常に重要
開示請求や削除依頼を検討する場合、まず重要なのが証拠保存です。
掲示板のURL、投稿日時、スクリーンショット、スレッド全体の流れなどを保存しておくことで、「誰を指していたか」を後から説明しやすくなります。
また、投稿は削除されることもあるため、魚拓サービスなどで保存しておく人も少なくありません。
弁護士相談で判断されるポイント
実際に開示請求が認められるかどうかは、投稿内容、同定可能性、悪質性、継続性などを総合的に見て判断されます。
そのため、法律相談では「掲示板利用者の中で本人特定が可能か」「社会的評価や精神的苦痛がどれほど生じたか」が重視されます。
特に、長期間にわたり同じあだ名で中傷されているケースでは、一連の投稿全体として評価されることがあります。
まとめ
匿名掲示板の晒し投稿では、「名前が直接書かれているか」だけでなく、周囲が誰のことか分かる状態かどうかが重要になります。
あだ名だけの投稿でも、過去の流れから本人特定が可能なら、開示請求や権利侵害が認められる可能性があります。悩んでいる場合は、投稿内容を保存したうえで、ネット誹謗中傷に詳しい弁護士へ相談することが大切です。


コメント